
「求人の入口」を誰が握るか。
これは、採用業界の勢力図を大きく左右してきた歴史そのものです。
2025年、OpenAIが新たに求人プラットフォームを導入するというニュースが発表されました。
AIが求職者と企業を直接つなぐ仕組み──これは単なる新サービスに留まらず、求人業界全体の再編を促す可能性を秘めています。
本記事では、これまでの求人業界の流れを振り返りつつ、OpenAIの参入が何を意味するのか考察します。
1. 求人業界の歴史──「入口」を握ったものが勝つ
求人業界は時代ごとに主導権が移ってきました。
- 紙媒体の時代:新聞・雑誌の求人広告が主流
- 検索エンジン型の台頭:Indeedが登場し、求人票を横断的に検索できるように
- 広告配信型の進化:2024年には「Indeed PLUS」がリリース。媒体を超えて広告配信が可能に
特にIndeedは「求職者が最初に訪れる場所」として、採用市場で圧倒的な存在感を築いてきました。
2. OpenAI求人プラットフォームの衝撃
そんな中で登場したのが、OpenAIによる求人プラットフォームです。
ChatGPTの強みは、検索ではなく対話を通じたニーズ把握とマッチングにあります。
例えばこんな会話が想定できます。
- 「営業経験はあるけど、数字を追うよりお客様を支える仕事がしたい」
- 「週3日、リモートワークで子育てと両立したい」
従来の検索では拾いきれなかった曖昧な希望も、AIが解釈して求人を提示できる──ここに大きな違いがあります。
3. IndeedとOpenAIはどう共存する?
- Indeed:求人票を横断的に集める“検索型”
- OpenAI:求職者の会話から提案する“対話型”
一見すみ分けはできそうです。
しかし、もし求職者が「まずChatGPTに相談する」流れが定着すれば、入口の主導権がIndeedから移る可能性があります。
求人業界では入口を握る=広告費の流れを握る、ということ。
Indeedが築いたポジションに、OpenAIが切り込むかもしれません。
4. 採用担当者が備えるべき3つの視点
- 求人票の質を高める
AIに正しく理解されるよう、スキル・条件・働き方を明確に書く。 - 魅力を言語化する
AIが要約しても伝わるように、企業の強みを言葉に落とし込む。 - 広告戦略を複線化する
「Indeedだけ」ではなく、AIプラットフォームも見据えた採用チャネルの設計を。
まとめ──次の主導権は「会話」から始まる
求人業界は、
紙媒体 → 検索エンジン → 広告配信型(Indeed PLUS)
と進化してきました。
そして次は、**AIによる“会話から始まる求人”**が主導権を握る可能性があります。
企業にとっては、媒体の比較以上に、
「AIにどう拾われるか」
「AIにどう魅力を伝えてもらうか」
を意識することが、これからの採用成功の鍵となるでしょう。